はちまんたいしりつ でんどうしょうがっこう
八幡平市立田頭小学校
住所:〒028-7112 岩手県八幡平市田頭19-43
Tel:0195-76-2732 Fax:0195-76-2734 Email:dendou-sho@educet.plala.or.jp
トップページ 校長挨拶 行事予定 校内研究 PTA・教振 新着情報

令和2年度 校内研究計画 PDFデータはこちらから
(1) 研究主題
 主体的に課題解決に取り組む子どもの育成
 〜算数科における思考を深める学び合いを通して〜
(2) めざす子ども像 問いを発し解決しようとする子ども
 問いに対して自ら働きかけ、学習経験を活用して粘り強く考え、伝え合い、自他の考えのよさに気づき、互いに関わり合いながら、共に高まっていくことができる子ども
(3) 主題設定の理由
<今日の教育的課題から>
 今日の社会は、生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会構造や雇用環境は大きく、また急速に変化しており、予測が困難な時代となっている。そうした中で、一人ひとりが持続可能な社会の担い手として、その多様性を原動力とし、質的豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待されている。こうした変化の一つとして人工知能の飛躍的な進化が挙げられるが、それに伴い、雇用の在り方や学校において獲得する知識
の意味にも大きな変化をもたらすのではないかとの予測も示されている。このような時代にあって、学校教育には様々な変化に積極的に向き合い、他者と共同して課題を解決していくことや、様々な情報を見極め知識の概念的な理解を実現し情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと、複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求められている。
 これらの課題を受けて、本校では将来を担う子どもたちが、様々な変化に積極的に向き合い、他者と共同しながら主体的に課題解決していける資質や能力を育成していくことが必要であると考え、本主題を設定した。
<本校の教育目標の具現から>
 本校では、「心豊かによく学び、自ら伸びていく力を持った子どもの育成」をめざし、
 「よく考え進んで学習する子ども」
 「心が豊かで思いやりのある子ども」
 「健康で体力のある子ども」
という3 つの具体目標を掲げて、知・徳・体の調和の取れた人間形成をめざしている。特に「よく考え進んで学習する子ども」については、「分かる・できる・楽しむ授業」の創造の中で、子ども一人一人が考えて問題を解決していくような教育活動の充実をめざしている。
 本主題に取り組むことで、子どもたちの算数における資質や能力が向上し、自ら考え、主体的に学習する子どもの姿につながるものと考える。
<子どもの実態から>
 子どもたちのアンケート結果からは、算数への学習意欲や友達の考えから学ぼうとする姿勢の高まりがうかがえる。しかし、自分の考えを分かりやすく伝えることへの苦手意識がまだあることが分かる。また、教師へのアンケートでもこの部分の評価が低かった。
 令和元年度全国学力調査及び岩手県学習定着度状況調査の算数は、全国や県の平均を上回ることが出来ず、領域別で見ても、特に目立って落ち込んでいる領域があるわけでもないことが明らかになった。細かく見ていくと、根拠を示しながら説明する問題や複数の情報から必要な情報のみを選び立式する問題、与えられた条件を満たした、伴って変わる2つの数量を見いだす問題などに大きな落ち込みが見られ、根拠を示しながら説明したり、式の意味を正しく捉えたり条件に合った数量を選び出す力が不足していることが分かった。質問紙を見ると、授業内容が「分かる」と回答しているが、結果として表れていないという矛盾が生じていることも明らかとなった。授業を受けて、「分かったつもり」になっているが、学習したことをもとに自分の力で根拠を広げて解くことや論理的に説明することが出来ていない状況にあることが分かる。これは、既習事項をしっかりと自分のものにし、自分と友だちの考えの違いや共通点を数学的に見たり考えたりする学習経験の不足や、インプットに留まり、アウトプットしながら学んだことを自分の言葉で表現することの経験不足、またそうする良さを実感できる経験の少なさが背景にあると考えられる。子どもたちが互いに学び合う良さを実感しながら、思考を深める指導の工夫の在り方や学んだことを自分の力で表現する良さを実感できる授業づくりについて探る必要があると考える。
<研究の経過から>
 平成21年度より算数科を窓口にして研究に取り組んでいる。25年度からは、研究主題を「主体的に課題解決に取り組む子どもの育成」と設定し、思考を深める学び合いについて研究を進めてきた。ねらいにせまる指導過程を意識した学習を展開したり、学習形態の工夫、問い返しの発問をしたりすることで、学び合いが活性してきた。しかし、学級の子どもたちが全員、自分の考えを確実に説明したり、学んだことを活用したりできる状況にまで至っていない。このような経過と現状をふまえ、学び合いを通して自分では気がつかなかったアイディアに気づいたり、自分とは違う解決方法に触れたりすることで互いに触発し合い、新しい気づきと発見を繰り返していくことにより思考力が高められると考えた。
 また、27年度より2年間にわたり、八幡平市の指定を受け、平成28年度には公開を実施し、授業提供をしたところである。昨年度から、児童数の減少に伴い、複式学級が新設され、学び合いの形態もこれまで行ってきたペアやグループ、一斉等から、学年を超えて、下学年から上学年への学びのつながりや上学年から下学年の内容に戻って学習を関連させる学び合いなどへと拡張していかなくてはならない。
 よって、本年度はこれまでの実践を生かしつつ、学び合いをいかにコーディネートしてどのような数学的な見方・考え方を働かせて、どのような数学的活動を仕組み、どのような資質・能力を育てていけばよいのか、また、学んだことを自分の力にするための授業づくりについて研修を深めていこうと以下のように考えた。
(4) 研究の目的
 算数科において、主体的に課題解決に取り組む子どもの育成をめざし、子どもたちが自ら問いをもち、考えを関わり合わせながら学び合う指導のあり方を授業実践を通して明らかにする。
(5)研究の仮説
 算数科の学習指導において、次のような手立てを講じるならば、主体的に課題解決に取り組むことができるであろう。
 ア 思考を深める学び合いの工夫
 イ 学んだことを自分の力にするための授業づくり
(6)研究内容
 ア 仮説1に関わって ◎数学的な見方・考え方を高めるためのコーディネート力
 イ 仮説2に関わって ◎アウトプットによる学びの振り返りを取り入れた授業づくり
 ウ 日常学習の基盤づくり(小中連携)
(7)研究方法
 ア 先行研究・参考文献による理論研究
 イ 授業を通しての実践研究
 ウ 子どもの実態把握
 ・質問紙法による意識調査(6月、12月) ・諸検査の分析と考察及び活用